拍米日記

孤高でありたい

空白のすばやさ種族値53を考察する

 ポケモンの能力値はHP、こうげき、ぼうぎょ、とくこう、とくぼう、すばやさの6種類からなる。この6種類の能力値のうち、最も大事な能力はどれだろうか。

 ポケモン対戦を多少なりとも考え、戦ったことのある人なら、ほとんどがすばやさと答えるのでは無いだろうか。行動順が先であることが極めて有利であるゲームであるにもかかわらず、すばやさに1の差があるだけで行動順が決まってしまうからだ。追い風、トリックルーム、電磁波、龍の舞、ダイジェット、岩石封じ、ねばねばネットといった素早さを操作する技、あるいはすいすい、かそく、すなかき、かるわざといった素早さを操作する特性、こだわりスカーフという素早さを操作する道具が頻繁に使われ、強力であると言われるのもすばやさの重要性に由来する*1。また逆に、すばやさの関係を無視して行動順を操作できるマッハパンチしんそくねこだましはやてのつばさいたずらごころといった要素が強いと言われるのも、すばやさが重視される裏返しと言える。他のステータスよりも1の差が大きく関わってくるだけあって、そのすばやさ1の差を作るための調整は他のステータスよりも頻繁に議論の対象となっている*2

 そんな、1の差が大きな違いを産むすばやさは、その種族値*3の値も細かく調整されており*4、特徴的な数値を持つ、もしくは対戦で頻繁に見るポケモンのすばやさ種族値は記憶に残りやすい。例えばすばやさ種族値130*5は長きにわたって基準の値となっていた。他にも142*6、102*7、96*8などは頻繁に話題に上る。細かく調整されているとは言っても、キリのいい数値*9には数多くのポケモンがおり、その激戦区を上回るすばやさを持っているポケモン*10は高く評価され、逆に下回っているポケモン*11は他の能力が優れていても評価を下げることもしばしばである。

 さて、すばやさが本当に細かく調整されていることを示すこととして、すばやさは他のステータスに比べて様々な種族値を持つポケモンがいるという特徴がある。他のステータスでは、この値を持つポケモンはいない、ということがしばしばあるのだが、すばやさにおいてはこれが少ないのである*12。例として、種族値80~100の区間を見てみよう。以下に、その種族値ポケモンがいない値を示す。*13


HP:96、94、87
こうげき:99、96
ぼうぎょ:96、93、81
とくこう:96、89、84
とくぼう:93
すばやさ:なし


 例えば、HPであれば、HP種族値96、94、87のポケモンは現在存在しない*14。他のステータスにおいても、80~100の21個の数字のうち1~3個の空白が存在する。しかし、すばやさはこの80~100の区間においては空白が存在しないのである。21の数字のうちに、ポケモンが密に詰まっているのである。

 ここでは例として、80~100という区間を挙げたが、この区間を広げても、その数字に対応するすばやさ種族値を持つポケモンはほぼ必ず存在する。なんと、20~130の111個の数字のうち、109個の数字は実際にこれをすばやさ種族値として持つポケモンがいるのである。*15本当にすばやさ種族値〇〇のポケモンなんかいるの?と思った方は調べてみて欲しい。*16ちなみに、130を超えると次は132*17、135*18と続き、20を下回ると15*19、13*20と続くので、20~130の区間が通常のポケモンの素早さ範囲と捉えることができるかもしれない。*21

 さて、先ほどの文章を読んで疑問に思った人がいるかもしれない。「『20~130の111個の数字のうち、109個の数字は実際にこれをすばやさ種族値として持つポケモンがいる』のであれば、逆に対応するポケモンが存在しない2つの数字は何なのか?」と。最もな疑問である。この、対応するすばやさ種族値が存在しない数字のうちの1つは、「21」である。これは、私が20~130というキリの良い区間を設定したかったがために生まれてしまったとも解釈できるので、ここでは深くは言及しない。*22

 そして、もう一つの対応するポケモンが存在しない数字、それが今回の主題、「53」である。

 何故わざわざこの53を取り上げたのか。それは、このすばやさ種族値53の空白が突然現れるため、逆に奇妙に目立つからである。22~130の109個の数字のうち、ほとんどの数字には対応したポケモンがいるのに、何故か53だけが存在しない。前後の数字と見比べてみても

60:54種*23
59:3種*24
58:8種*25
57:5種*26
56:5種*27
55:33種*28
54:1種*29
53:なし
52:5種*30
51:3種*31
50:56種*32
49:2種*33
48:7種*34
47:2種*35
46:5種*36
45:40種*37

 隣の54が1体しかいないのも気になるが、53が不自然に空白なのがよくわかるだろう。これを見ると、51~52にいるうちの1匹を53に持ってきて、空白を埋めてもよさそうなのに、と思わざるを得ない。

 そこで、私は考えた。ゲームフリークにとって、このすばやさ種族値53という値には何か不都合があるのではないか。何か、この不自然な空白を説明できるものがあるのではないか。そう思い、この記事を書いた。


 さて、まずはこの53という値を種族値に持つポケモンがいるかどうかを調べてみよう。


◇HP種族値53のポケモンは3種類いる。ポッチャママーイーカズガドーン*38
◇こうげき種族値53のポケモンは7種類いる。ヤナップバオップヒヤップクルミルウデッポウヒドイデウツロイド
◇ぼうぎょ種族値53のポケモンは7種類いる。サワムラーゴクリンポッチャママーイーカヌメイルアクジキングズガドーン*39
◇とくこう種族値53のポケモンは8種類いる。ヤナップバオップヒヤッププロトーガドヒドイデマッシブーンツンデツンデ、アーマーガア)
◇とくぼう種族値53のポケモンは5種類いる。ゴクリンチェリンボマッシブーンアクジキング、ミブリム)
◇すばやさ種族値53のポケモン存在しない
◇平均種族値53、つまり合計種族値318のポケモンは3種類いる。フシギダネチコリータナエトル*40


 他のステータスでは、種族値53という値が存在する一方で、何故かすばやさでは存在しないということがわかった。つまり、種族値53という値は別にゲームフリークにとって特別な値ではないということが分かってしまった。*41ただし、フシギダネ等の一部の種族値平均が53であることは考慮するべきかもしれない。特にフシギダネは図鑑番号1番の特別なポケモンなので、もしかするとゲームフリークにとってこの53がフシギダネと同様に思い入れのある数値なのかもしれない。だが、これはあくまでも推測に過ぎないため、これ以上は言及しないこととする。
 この調査によって、すばやさ種族値53の空白の謎が更に深まる結果となってしまった。


 今度は、53という数字がポケモンというゲームにおいてどういう意味を持つのかを考えてみよう。もしここで特徴的なものが観測されれば、53という数字が、ゲームフリークに取って特別な数字である可能性が考えられる。

カントー図鑑・ぜんこく図鑑の53番はペルシアンである。
ジョウト図鑑の53番はメリープである。
◇ルビー・サファイア・エメラルドでのホウエン図鑑の53番はギャラドスである。
オメガルビーアルファサファイアでのホウエン図鑑の53番はコイキングである。*42
シンオウ図鑑の53番はミツハニーである。
◇ブラック・ホワイトでのイッシュ図鑑の53番はエルフーンである。
ブラック2・ホワイト2でのイッシュ図鑑の53番はブビィである。
セントラルカロス図鑑の53番はトサキントである。
コーストカロス図鑑の53番はイワークである。
マウンテンカロス図鑑の53番はタマゲタケである。
◇サン・ムーンでのアローラ図鑑の53番はウインディである。*43
◇メレメレ図鑑の53番もウインディである。
◇アーカラ図鑑の53番はブースターである。
◇ウラウラ図鑑の53番はメノクラゲである。
◇ポニ図鑑の53番はイワンコである。
◇ウルトラサン・ウルトラムーンでのアローラ図鑑の53番はペルシアンである。*44
◇メレメレ図鑑の53番もペルシアンである。
◇アーカラ図鑑の53番はムーランドである。
◇ウラウラ図鑑の53番はゴルダックである。
◇ポニ図鑑の53番はコイキングである。
◇ガラル図鑑の53番はアママイコである。

 さて、以上の情報から、私にはなにか法則性や意図的なメッセージを見つけることはできなかった。よって、ゲームフリークにとって53が特別な数であることは特に読み取れなかった。ほかにポケモンのゲームの中で53という数字が登場しないかを考えたが、道路番号にもなっていないので残念ながら思い当たらなかった。


 さて、更に今度はポケモンに限らず、この53という数字について考えてみよう。*45

53とは…

◇16番目の素数。前は47、次は59。
◇88番目のソフィー・ジェルマン素数*46。前は41、次は83。
◇4番目のオイラー素数である*47。前は47、次は61。
◇元素番号53はヨウ素である。

 素数である以外に大きな特徴のある数字があるとはなかなか見られない。ここから53の特殊性を見ることが思いつかなかった。
 53の前の空白である21との共通点も探したが、21が素数でないこともあり、共通点はあまり見つけられなかった。ちなみに原子番号21はスカンジウムであり、ヨウ素スカンジウムからなるヨウ化スカンジウム(ScI3)はメタルハライドランプ*48内部の蒸気などに用いられている。あんまり関係はなさそう。


 さて、ここまでは53の特殊性を検証してきたが、ここからは、もしすばやさ種族値53のポケモンがいたとしたら、一体どれくらいのすばやさを持つのだろうか、という点を考えてみたい。もし今後すばやさ種族値53のポケモンが現れた場合、この表を参考にしてほしい。これいる?

すばやさ種族値53の実数値

◆最速*49:115
 ◇準速61族*50抜き*51
 ◇無振95族*52同速
 
◎最速スカーフ:172
 〇最速104族*53抜き、105族*54同速
 〇準速119族*55抜き、120族*56同速

◎最速すいすい:230
 〇最速151族*57抜き
 〇最速スカーフ87族*58抜き*59
 〇準速スカーフ101族*60抜き

◆準速*61:105
 ◇最速43族*62抜き、44族*63同速
 ◇無振112族*64同速

◎準速スカーフ:157
 〇最速90族*65抜き、91族*66同速
 〇準速104族*67抜き、105族*68同速

◎準速すいすい:210
 〇最速136族*69抜き
 〇最速スカーフ75族*70抜き、76族*71同速
 〇準速スカーフ87族*72抜き、88族*73同速

◆無振*74:73

◆最遅*75:52
 ◇トリックルーム下無振34族*76抜き、33族*77同速

 いかがだろうか。今を時めくドリュウズやエースバーンといったポケモンをギリギリ抜けるか同速に至れるという能力値は面白いと思う。準速スカーフドリュウズとか準速エースバーンがいるのかは知らない。そこまでする必要があるかも知らない。 逆に53はトリックルーム下では速すぎて使いにくい印象を受ける。
 当たり前だが、すばやさの種族値だけでは考察に限界がある。*78そのため、この辺りで考察は終わらせていただく。


 ここまで色々と書いてきたが、すばやさ種族値53の空白を説明できる事象は観測できなかった。今後、もしこの件に関する新たな考察事項が発生したらまた追記するかもしれない。





Q.この文章まとまりが無さ過ぎませんか?
A.途中で書くのに飽きたけどDLCが来そうだから更新しないと没になると思って無理やり完成させたから。

*1:もちろん全ての素早さを操作する技・特性が強いわけではない。技のベノムトラップ、特性のゆきかきやふくつのこころ、道具のルームサービスなどは活用が難しいため、あまり強いとは言われない。

*2:逆に言うと、1の差があれば十分なので、過剰なすばやさは無駄になるため、無駄を省いて他のステータスを伸ばすことも重要になる。

*3:ポケモンの種族別の能力。知らないなら検索して。

*4:その調整によって、ゲームフリークが意図的にバランスを作れているのかは別の話。

*5:サンダース、プテラミュウツークロバット、カプ・コケコなど。

*6:ドラパルト。

*7:ガブリアス

*8:ミミッキュ

*9:例えば100、90など

*10:ランドロス(91)やガブリアス(102)等

*11:バイバニラ(79)等

*12:もちろん常識的な数値の範囲の話である。すばやさ種族値2435のポケモンは当然いない。

*13:参考:ポケモン徹底攻略

*14:剣盾DLC発売前時点。

*15:ここでは、フォルムチェンジ状態のすばやさも考慮している。例えば129はウルトラネクロズマしか、127はスカイフォルムのシェイミしかいない。

*16:例として、22はプロトーガ、24はムンナ、26はワンパチ、27はシズクモしかいない。

*17:サトシゲッコウガ

*18:メガライボルトメガミミロップ、ガラルヒヒダルマ(ダルマモード)

*19:ヤドン、バチンウニなど多数

*20:ツンデツンデ

*21:すばやさ種族値130族は開発側から見てもやはり特別なのだろうか、とここから思ったりする。

*22:そもそも、区間の端は対応するすばやさ種族値を持つポケモンの数が少ない数字が多い。22、24、26、27、122、123、124、126、127、129は対応するポケモンが1種類しかいない。21はそのあたりにいるポケモンがそもそも少ないため、偶然対応するポケモンが居なかっただけかもしれない。また、21より小さい区間では、20を挟んで19、18、17、16と対応するポケモンのいない区間が続く。そのため、21が空白でも違和感は小さい。

*23:ラプラスポリゴン2エンペルトニンフィア等。マタドガスジグザグマギルガルドのフォルム違いも換算。

*24:バニリッチブロスター、タイプ:ヌル

*25:ラムパルドズルズキンゴロンダ等。

*26:フシデハリボーグ、ホルード等。

*27:ポッポ、ドダイトスオーロット等。ドダイトスとポッポって同じ素早さだったのか…。

*28:アーボ、ズバットコダックハピナス等。

*29:パンプジン(とくだいサイズ)

*30:ハンテールサクラビスフラエッテ等。

*31:サナギラストロピウスバケッチャ(ふつうのサイズ)

*32:ベトベトンクチートレジスチルモジャンボ等。

*33:ペロッパフ、テブリム

*34:メタモンアンノーンクリムガン

*35:カバルドンホイーガ

*36:マスキッパアマルスアゴジムシ

*37:ガラガラ、グランブルアーマルドローブシン

*38:ポッチャマと同じHPしかないズガドーン、おかしい。

*39:ポッチャマと同等の物理耐久のズガドーンは流石脆い。そしてポッチャマ以下の物理耐久のサワムラー(HP種族値50)は脆すぎないか。

*40:ちなみにキモリとサルノリは310、ツタージャは308、ハリマロンは313、モクローは320。合計318はいわゆる御三家の中ではアローラ御三家の320に次いで高い。

*41:もちろんすばやさ種族値53が特殊な値である可能性は否定しない。

*42:エルレイド追加によるずれ。

*43:以下4つの図鑑もサン・ムーンにおけるものである。

*44:以下4つの図鑑もウルトラサン・ウルトラムーンにおけるものである。

*45:参考: 53 - Wikipedia

*46:素数pに対して、2p+1も素数である素数のこと。53*2+1=107、この107も素数である。

*47:n^2-n+41で表される素数のこと。自然数n<41で全て素数になる。53はn=4。

*48:スタジアムの照明とか大きな施設の吹き抜けの照明とかに使われているらしい。最近はLEDが増えている。

*49:素早さが得意な性格+努力値252

*50:バンギラステッカグヤヒコザル

*51:62族まで抜けるがアママイコヤヤコマだけなので無視

*52:ウインディドラピオン、イエッサンなど

*53:ニャオニクスマフォクシー

*54:ギャロップゾロアークコジョンドなど

*55:エースバーン

*56:ダグトリオ、インテレオンなど

*57:フェローチェ

*58:サワムラー

*59:ドリュウズが抜けない。

*60:ピジョットデデンネなど

*61:素早さが得意でも苦手でもない性格+努力値252

*62:ユレイドルクワガノンケケンカニなど

*63:ドラミドロ

*64:ブニャットペンドラー

*65:ピカチュウルカリオなど

*66:ネオラント、霊獣ランドロスなど

*67:ニャオニクスマフォクシー

*68:ギャロップゾロアークコジョンドなど

*69:カマスジョー

*70:ウオノラゴン、パッチラゴン、ストリンダーなど

*71:ニドクインエビワラー

*72:サワムラー

*73:ドリュウズ

*74:素早さが得意でも苦手でもない性格+努力値0

*75:素早さが苦手な性格+努力値0

*76:メルメタル

*77:ソーナンスドータクン

*78:タイプや覚える技、他の種族値が分からないのに考察が深められるわけがない。