拍米日記

孤高でありたい

延期になっているFIFA W杯アジア予選の状況を思い出そう

 COVID-19の影響で様々なスポーツが影響を受けているわけですが、特に世界を渡り歩くスポーツ*1や、国際試合への影響がすさまじい。サッカーでも、最近になって国内リーグは欧州等でいくつか戻りつつあるが、UEFA-CLやACLなどは中断されたままで再開の日程は未定のまま。代表戦なんかももちろんできない。

 代表戦ができないので、本来3月・6月に開催されるはずだった試合も行われず、2022FIFAワールドカップ*2の予選も止まったまま。この延期された試合がどこに行くのか、いつ再開できるのか、といったことももちろん気になるのだけれど、今回は半年以上前から止まったまま*3のこの予選の状況がどうなっていたかを思い出そう、という記事。

 

はじめに

各大陸の予選の進み具合

 さて、そもそも予選の進行状況は地域によってまちまち。そもそも、北中米カリブ海*4、欧州*5オセアニア*6は開幕していない。南米は3月に開幕する予定だったが延期*7。アフリカは一次予選だけ終わっていて*8、40ヶ国での2次予選が10月から開幕予定。

 

 一方アジアは1次予選が済んで*9、40ヶ国での2次予選の真っ最中。半分強の試合が済んでいるため、全体の趨勢が見えてきたところでこの半年以上の中断。好調不調が大きく入れ替わる可能性すらあるだろうか。

 

 2次予選は、40チームを5チームずつ8グループに分け、ホーム&アウェーの総当たり(計8戦)で順位を競う。各グループの1位と、2位チームのうち成績が良かった4ヶ国の計12か国が3次予選へ進む。ちなみにこの大会はアジアカップ*10の予選も兼ねていて、先ほど述べた12チームがアジアカップ出場決定、2位チームの中の下位4ヶ国と3位の8ヶ国、4位チームの中の上位4ヶ国の計16ヶ国ががアジアカップ3次予選へ。残りの12チームがアジアカップ予選プレーオフラウンドへ行くらしい。

 まあこのアジアカップの出場権なんかはどうでもいい話なのだが、このアジアカップの出場権も同じ大会で決めるせいで、この予選に開催国でもう出場権を手に入れているはずのカタールが出場している。もしカタールが上位12ヶ国、つまり3次予選に進む順位になった場合、2位チームのうち5番目の成績を残したチームが3次予選に進むらしい。なるほど。

 

2位チームの中で4番目ってどのくらい?

 さて、各グループ2位の中で上位4チームというのはどのくらいの成績が予想されるのか。これは4年前の予選が同じ形式で開催されているので、ここから予想すればいい…はずなのだが。4年前の予選はFIFA参加資格を失って失格になったチームがあったため、1つだけ4チームになったグループがあった。*11そのため、グループ間の比較ではグループ最下位との対戦成績を除いた成績で計算がされた。とはいえ、グループ2位と最下位の対戦成績は全て2位チームが勝っていたため、勝ち点を+6すれば良いだけなのだが。今回の予測では得失点差はあまり意味が無い*12ので、勝ち点だけを見る。

 

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2018W杯アジア2次予選の2位チーム成績比較。中国までが最終予選へ。結局この4チームはどこもワールドカップまで辿り着けなかった。

 上記の表を見てわかる通り、4年前は8試合の勝ち点で17取った中国・UAEが通過したものの、16を獲得した北朝鮮・ヨルダンは通過に失敗している。というわけで、今回もこの勝ち点16~17あたりが通過ラインになると仮定した上で、現在の状況を見て行こう。

 

2次予選の現状

 ここからは各グループの現状を見て、どこが優勢に進めているか、どのグループの2位が突破してきそうか、を確認する。ちなみに今回アジアカップについては考慮しない。面倒だし興味がそんなにないので。

 

 

グループA

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グループAの順位表。シリアが圧倒、問題は2位中国。

 グループAは、シリアが既に5連勝。残り3試合は全てアウェーだが、モルディブ・グアム相手は落とさないだろうことを考えると1位は硬い。

 2位は消化試合の少ない中国が濃厚。モルディブ・グアム相手はもちろん、残りのホームでのフィリピンは必勝。これで勝ち点が16、ホームでのシリア戦で引き分けなら17に届く。もちろん、残り4試合を全勝して安全圏と言える勝ち点19に乗せたいと。

 3位フィリピンは全勝すればなんとか勝ち点16だが、アウェー中国戦が厳しそう。

 

 

グループB

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グループBの順位表。オーストラリアが頭一つ抜けた後の2位争いが激しい。

  4連勝のオーストラリアは残りアウェーがネパールのみ、1位は安泰か。

 ここは2位争いが何より激しい。どちらかというとネパール・台湾相手に得失点差を積み重ね、直接対決をホームに残しているクウェートが有利。だが残り3試合のうち一つが両者ともにオーストラリアとのアウェー、ここを落とすと勝ち点は16までしか伸びない。クウェート・ヨルダンともに直接対決での勝利は当然として、オーストラリアでの勝ち点1を拾うことが重要になるか。

 

 

グループC

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グループの順位表。最有力だったイランが不調で大混戦。

  グループCは2大会連続出場中のイランの連敗で大荒れ。

 1位のイラクは残り3戦がアウェー香港、ホームカンボジア、アウェーイラン。香港・カンボジアへの連勝で勝ち点は17に届く。アウェー香港は侮れないが。もちろんアウェーイランを引き分けて確実にグループを抜けたい。

 バーレーンは4戦目のアウェー香港戦の引き分けが響いてここまで2位。残りはホームカンボジア、アウェーイラン、ホーム香港。カンボジア・香港に勝っても勝ち点は15で物足りず、1位にも恐らく届かない。アウェーイランで最低引き分け、できれば勝ちが欲しい。得失点争いになった場合に不利が予測されるのもつらいところ。

 イランは3戦目・4戦目とバーレーンイラクに連敗。それでも残り4戦を全勝すれば自力で1位に届くので、それを狙いたい。ホームイラクバーレーンのどちらかを引き分けた場合は勝ち点16で恐らく2位。得失点差では優勢だが、不安が残る勝ち点なのでやはり4連勝が必須に近い。

 

 

グループD

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グループDの順位表。首位はウズベキスタンだがサウジアラビアが有利。

 グループDはウズベキスタンが首位だが、残り試合数などからサウジアラビアが優勢。

 1位ウズベキスタンは残り3戦が全てアウェーで、サウジアラビアとの直接対決を残している。ホームサウジアラビア戦はともかく、アウェーパレスチナ戦の一敗が痛すぎる。イエメン・シンガポールに勝ってサウジアラビア相手に引き分けてやっと勝ち点が16というのは苦しい。もちろんサウジアラビア戦に勝てれば首位通過が見えてくるのだが…。

 サウジアラビアはイエメン・パレスチナ相手に引き分けたものの、残るアウェーはシンガポールのみ。ウズベキスタンはアウェーで勝っている相手なので、ここからの4連勝も臨める。まずは下位3チームに勝って勝ち点17に乗せ、落ち着いてウズベキスタンと対峙したい。

 

 

グループE

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グループEの順位表。カタールオマーンの2強が堅い。

  グループEはカタールオマーンが走っている。この2チームの直接対決こそ残っているが、それ以外の2試合を確実に勝てば勝ち点は19・18になるため、安全圏と言えるか。カタールはホームで引き分けたインドとのアウェーが残っているのが気になる。

 このグループでカタールが上位にいるため、おそらく2位チームのうち5番目までが3次予選に進むだろう。

 

 

グループF

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グループFの順位表。日本が圧倒的、以下は星の食い合いで2位になっても勝ち点が足りなさそう。

 残りはモンゴル以外がホームでの試合の日本は問題なく1位通過をするだろう。 

 では2位以下は、というと2位~4位がアウェー日本戦を抱えていて勝ち点が伸びそうにない。日本戦で敗れると勝ち点は最大13でとても通過は不可能。引き分けでやっと14。2次予選通過には奇跡を起こすしかないか。

 

 

グループG

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グループGの順位表。UAEが東南アジア勢に苦戦して大混戦。

 UAEと東南アジアの大国4ヶ国が集結したグループGは大混戦。それにしてもこのグループ楽しそう。

 首位ベトナムはアウェーマレーシア、ホームインドネシア、アウェーUAEを残す。インドネシアとマレーシアに2連勝すれば勝ち点も17に届き、3次予選が見える。アウェーUAEははっきり言って重いので、この2勝は必須に近い。もちろんUAEを破るに越したことはない。

 2位マレーシアはホームベトナム、アウェーUAE、アウェータイを残し少し難しい立場。ホームで負けているUAE相手が厳しいが、そうなると勝ち点は最大15、2位の座も危うい。2勝1分で勝ち点16にしてなんとか、という感じだろう。

 3位タイはホームインドネシア、アウェーUAE、ホームマレーシアを残す。2勝1分でも勝ち点15なのでここは3連勝が必要と言っていい。ホームで勝ったUAEを連破し、アウェーで敗れたマレーシアへのリベンジを果たせば、3次予選が見えてくる。

 4位UAEは東南アジアアウェーが難しかったのか、タイ・ベトナムに連敗。残り4戦はインドネシア以外全てホームなので、ここで本来の姿を見せたい。もちろん4連勝で勝ち点18が理想。3勝1分でも勝ち点は16。

 いずれにせよ、星が更にもつれる可能性も高いグループなので、2位の成績は低めになることが予想される。実力拮抗で1位しか通過できないのは勿体無いと思ってしまう。

 

 

グループH

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グループHの順位表。韓国が優勢、残り3チームが横並び。

  残りホーム3試合を含む4試合を残す韓国が優勢。アウェーで引き分けた北朝鮮レバノン相手に両方引き分けることが無ければ問題なし。

 順位上は首位のトルクメニスタンは残りがアウェー韓国、ホームレバノン、アウェー北朝鮮となかなか重い。目標はとりあえず2勝1分の勝ち点15だろうが、道のりはなかなか険しい。

 レバノン北朝鮮はともにアウェー韓国を引き分けて2勝1分で勝ち点15が目標か。

 

 

2位争い概況

 

  さて、ここまで各グループの状況を見てきたが、今度はグループが異なるチームの比較のために各チームを並べてみよう。

 

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各グループの状況、かっこ内は勝ち点。赤字は1試合少ない。カタールが3次予選に進出すると2位チームからの出場枠が一つ増える。5試合消化チームは勝ち点8以上、4試合消化チームは勝ち点6以上で掲載している。

 シリア、オーストラリア、サウジアラビア、日本、韓国の5ヶ国は恐らく1位が近い。サウジアラビアと韓国は異論が出そうだが、私は既に1位有力であると考える。また万が一1位を逃しても、2位チームのうちの上位には入るだろう、と考えている。
 また、Eグループのカタールオマーンも、どちらが1位になるにしても両チームとも勝ち点を積み上げており、かなり有力。それに従って2位チームの枠が1つ増える。ここまではかなり堅い。

 残りが6枠、問題はここから。初めに述べた勝ち点16~17のラインだが、この点に届きそうなチームの数が少ない。現実的なのは中国、クウェートorヨルダン、イラク、イラン、ベトナムUAEの6ヶ国くらいか。バーレーンウズベキスタン、マレーシア、トルクメニスタンも可能性はそれなりにあるが少し厳しい。そして、グループ内での星の食い合いで更に点を下げる可能性があるため、おそらく3次予選進出のラインは勝ち点15のラインまで落ちてくると予想される。この勝ち点15のラインなら、現在勝ち点9のチームは2勝1敗、勝ち点8のチームは2勝1分で届くので、かなりのチームに可能性が出てくる。恐らく、勝ち点15のチーム中で得失点差争い、といった決まり方になるのではないか。ここに乗っていない勝ち点7以下のチームがこの後3連勝して届くことは恐らくないと思う。そんなチームがあったらごめんなさい。

 これ以上の予想は得失点差なども絡んで複雑なので、もしもう少し予選が進んだ時にする機会があればもう一度まとめる…かもしれない。もう少しまとまった結論が無いと記事としての価値が無いのでは?

 

 

 ともかく、各スポーツの国際戦含む様々な試合が、安心して見られる環境が戻ってくることを望む。そしてカタールW杯が予定通りに開催できるかは分からない*13が、開催地はともかく無事に2022年に開催できることを願う。

 

追記 

AFC announces proposed dates for upcoming Asian Qualifiers | Football News | Asian Qualifiers 2022

 

 2020年10月8日・13日、11月12日・17日に延期していたアジア2次予選の残り試合を行うと発表があったようで。本当にできるの?

 とりあえず、そのころに覚えていたら状況を追いたいなあ、という感じですね。

 

 

参考:

FIFA World Cup Qatar 2022™ - Qualifiers - FIFA.com

 

*1:例えばテニスATPツアーやフォーミュラ1

*2:カタールで11月~12月にあるらしい。

*3:最後に行われた予選試合はなんと2019年11月19日。

*4:8月開幕予定。

*5:2021年3月開幕予定。

*6:9月開幕予定。

*7:9月開幕予定。

*8:レソトソマリアエリトリアブルンジエスワティニ、ボツワナガンビアシエラレオネモーリシャスサントメ・プリンシペ南スーダンコモロ、チャド、セーシェルの14ヶ国が敗退。

*9:ブルネイマカオラオス東ティモールパキスタンブータンの6ヶ国が敗退。

*10:アジアの大陸選手権。2023年に中国で開催。

*11:インドネシアが失格にならなければこんなことを考えずに済んだのに。

*12:得失点差は誤差が大きく、参考にならないと思われるため。

*13:COVID-19とは関係なく色々と言われているが、そちらはどうなるのか